美容師採用を成功へと導く手順|人材に困らない考え方と行動とは?

新人美容室経営者や美容室採用を知りたい方へ。本記事では、美容室採用を成功に導く考え方や施策から、採用の手順まで大公開しています。気になった方はぜひ活用してみてください!

目次

美容業界における採用の現実

美容学校に入学する人は2005年をピークに減少傾向にあります。美容学校に入学する人は年々減っている一方で、全国の美容室の店舗数はすべての業種の中でもトップの25万件あると言われており、新卒採用・中途採用共に難しいのが現状です。

厚生労働省の調査によると、令和4年4月時点の美容師の有効求人倍率は2.96倍であることが分かりました。職業全体の平均は1.23倍であることと比べ、美容師(理容師)の有効求人倍率は高い水準だと言えるでしょう。店舗数を増やしたくても、従業員の確保が追いつかないというのが多くの美容室経営者が抱えている問題です。

ここでは、美容室採用の問題点から考え方・手順までを紹介していきたいと思います。

採用がうまくいかない・人が集まらない美容室の特徴

「なぜ応募が来ないのか」には理由があります。今大きく変わってきた採用の現場で過去のやり方に固執してしまっては、採用がうまく行くはずもありません。過去と現在でどのような変化があるのか、その特徴を紐解いてみていきたいと思います。

1. 求人広告だけに頼っている

応募者がなかなか集まらない原因の一つが、求人広告に掲載していることに満足してしまい、その他の手法を模索しないことにあると思います。応募者は求人広告のみを頼りに、求職活動を行っているわけではありません。SNSや、美容師向けの集客サイトなど、幾多数多ある美容室の情報から「働きたい美容室」を探しています。

有名店や、大型チェーン店は目につきやすいですが、知名度も低く、これといった魅力のない美容室は、スルーされてしまうことも多いでしょう。大手の求人広告のランクの高いプランで広告を出したら、人が集まってきたのは過去の話です。

ですが、求人広告が必ずしも悪いわけではありません。求人広告を出す際には、使い方、掲載の仕方を工夫しながら「求職者目線」でのアピールが必要です。

2. 過去の採用方法を見直さない

流行に敏感な美容業界で、同じやり方を繰り返していては、時代のニーズに取り残されてしまいます。「採用方法の見直しを行っていない」という美容室がある一方で、会社規模が小さくても、「前年の採用活動を振り返って、良点・反省点を模索し、課題を見つけ新しい施策を行っている」美容室もあります。

過去から学び、次に活かすことは成果を出していく上でとても重要なことです。同時に、目新しい採用手法は競争相手が少なく、情報感度の高い優秀層が多いことも考えられます。

3. 自社のコンセプトやターゲットが定まっていない

「どのような美容室でありたいか、どのような人と働き、築き上げていきたいか」を明確に答えられなければ、思うような人材は集まってこないでしょう。「アットホームで皆が仲良しの美容室」「明るくて素直」と掲げている美容室は、星の数ほどいるでしょう。「新規事業を立ち上げ、海外で活躍できる美容師を育てる」や「自社の方向性に共感し、行動力・発信力をもって共に歩んでいける人」など、他社にはない強みを確立させることも大切です。

美容室採用を成功へと導くための考え方・施策とは?

知名度の低い美容室は、応募者を待つだけでなく能動的に情報を発信し、応募者に興味を持ってもらうことが必要です。成功を収めている美容室はどんなことをしているのでしょうか。まずは、考え方から見直してみたいと思います。

1. 美容師採用におけるマーケティング思考

採用に強い美容室は採用活動を事業の一貫として見なし、採用のプロセスに『マーケティング』の要素を取り入れています。マーケティングとは、「顧客のニーズを理解し、価値のあるものを届け、利益をあげるための諸活動のこと」を指しています。採用でいうところの顧客は、志望者ということになりますので、「志望者が、働く先で何を望み、価値を感じるのか」を、理解しようとすることが大切です。

美容業界は、流行の入れ替わりが激しいので、常に新しい情報と合わせて、ニーズを捉えていく必要があります。採用マーケティングが進んでいる美容室にも、一般企業と同じく『マーケティングオートメーションツール(情報収集・施策分析などを自動化する仕組み)』を取り入れて、一回接触した応募者にセカンドアプローチできるような仕組みを行っている所もあります。

マーケティングオートメーションツールで求職者の行動や傾向を分析し、興味を引くような情報を直接発信することが出来れば応募者数の増加につながります。すべての美容室で導入できる仕掛けではありませんが、美容業界のような「資格が必要で、転職者の多い」業界では、導入が進み始めています。

2. 美容師採用におけるブランディングの考え方

自社を明確に『ブランディング』していくことも、採用成功へと導いていくことにつながります。ブランディングとは、ターゲットとなる人材に「働いてみたい」と思わせる明確なイメージを抱かせる施策のことです。簡単に言うと、自社のコンセプトや経営方針などの考え方や、社員達(美容師)のファンを増やすことで、応募率が向上していくことが考えられます。

自社の掲げるビジョンや価値を明確にし、労働環境・求める人材像を発信することにより、一貫した情報を応募者に送ることができれば、採用におけるミスマッチを減らすことができます。美容室と応募者との間で、事前にしっかりイメージが共有できていれば、早期離職率も低下するでしょう。自社をブランディングしていくことは、社員が一丸となって取り組むことが大切です。その結果、採用成功へとつながるだけでなく「既存社員の価値の再認識や帰属意識の向上も期待できる」と考えられると思います。

美容室採用について、考え方・捉え方を整理できましたでしょうか?美容業界の採用活動も、広告を出しているだけでは、志望者は増えません。採用につながるためには、見直し・反省・改善を繰り返すことが重要です。求職者にしっかりと情報が届くようにするために、マーケティング・ブランディングを書き出してみましょう。

次に、実際の活動はどのように行動を起こしていくのかを見ていきたいと思います。

「採用活動」何から始めればいいの?手順を紐解く

採用活動を始める際には、まず求人広告に掲載することから始める美容室も多いかと思います。「人が集まらない」と感じたときに、次に何をすればいいのかについてを考えていきたいと思います。

施策1. 求人広告の見直しをする

求人広告のみでは、採用に繋がるのは中々難しいのが現状ですが、出している広告内容はこまめに見直すことが大切です。1ヶ月掲載して反応が薄かったものを、長く載せていても効果的とは言えないと思います。

・ターゲットにあった魅力的な情報を載せられているか?
・自社のイメージに合うキャッチコピーになっているか?
・働く店舗(現場)のイメージが沸くような写真であるか?

掲載する際に、広告代理店担当者と、しっかり打ち合わせを行い、自社の魅力や求める人材をしっかりと共有し、月に1度は見直しを行うと良いかと思います。また、写真は、美容師になりたい求職者にとって、イメージを掴む大切な情報源です。最近のトレンドを意識したビジュアル画像や、スタッフの表情が分かるような画像は必須と言えます。店舗の写真も大切ですが、「流行」に敏感な求職者は、「オシャレ・カッコいい」且つ「親しみやすさ」も重要なポイントのようです。

施策2. 美容学校の先生方との信頼関係を築く

新卒採用においては、美容学校へのアプローチは欠かせません。全国に数多くある美容専門学校を大まかにでも把握しておくことは大切です。応募が来た際にどの美容学校出身か、把握しておくことは次年度の採用活動に繋がります。ターゲットとなるエリア、または全国の美容学校のリストを作り、会社案内などのパンフレットを持参し、挨拶をしに行くこともいいと思います。

その際は、事前に就職担当の先生にアポをとり、自社に卒業生がいれば共に出向くのが良いでしょう。地道な活動となりますが、先生との信頼関係の構築は採用につながりやすくなります。また、各美容学校が主催する企業説明会もあります。費用は0円から会場費約5000円とお手頃です。各学校のホームページなどを確認し、多くの場合はウェブから申し込みを行うことが多いです。

学校に赴き、直接、学生と触れ合えることは大きなメリットである他に、先生と交流を持ち、信頼関係を築くことが出来れば、採用成功に大きく近づきます。なぜなら、学生たちは、就職先について、親以上に先生に相談しているというケースも少なくないからです。

施策3. 代理店主催の企業説明会への参加する

新卒採用の場合は、広告代理店が主催する企業説明会への参加は、直接学生と接することができる場として、採用を成功へと導いてくれる場となることが多いです。その場合、10万円〜30万円の参加費用を代理店に支払うことになります。主催する代理店によって規模は様々で、大きい所だと50〜100社くらい集まるところもあります。そういった所は、集まる学生も色々な学校から来ています。授業の一環としてくることもあれば、自主的に参加していることもあるようです。

メリット
・一度に多くの学生と触れ合うチャンスがあること。

デメリット
・数多くのサロンが来ているので、埋もれてしまいやすいこと。

また、小規模の説明会もあります。

20〜30社規模の説明会では、1〜3校の学校の学生が来ています。1つの学校のみで開催されることもあります。

メリット
・学生が聞いてくれる(席についてくれる)率が高いこと。
・学校の先生と交流が持ちやすいこと。

デメリット
・触れ合える学生の数が少ないこと。

施策4. リクルート用のSNSを用いて、学生とコンタクトが取れるようにする

求人広告の他にSNSでの情報の開示や発信は、美容業界においては必須と言えるでしょう。LINEやInstagramのDM機能で個別にメッセージのやり取りができるというのは、採用において、有利になる場合が多いと思います。LINEのアカウントを交換するのも良いですが、特に若い世代の学生たちは、Instagramを利用していることが多いです。

LINEでの「友だち登録」より、Instagramのアカウントフォローの方がプライバシーに踏み込みすぎない点で、学生にとっては気軽にフォローに繋がるかもしれません。美容室側としては、セカンドアプローチが出来る大きな機会を得ることになります。1度目のコンタクトで、印象深くすることは難しいですが、2度目のコンタクトで意識してもらう・またはスカウトするチャンスを得ることができるのです。

個別にダイレクトメッセージでやりとりができることも、電話などの直接的なやりとりを苦手とする世代には、利用しやすい点となります。情報の開示・発信と、求職者たちとのコミュニケーションとして、SNSを幅広く活用しましょう。

美容室が採用を成功へと導く大きなカギは?

美容室採用の現実を鑑み、自社の採用活動をしっかりと把握すること、そして実際にどのような行動を起こすことが必要なのか。答えは、決して一つではありません。多くの美容室があり、その数だけさまざまな採用手法・戦略・施策があると考えられます。

それぞれの美容室に魅力的な部分があるはずですが、その魅力をしっかり求職者に伝えていないと、採用につながることはありません。自社の美容室の魅力を最大限伝えるために、求人広告の他に、美容学校・先生方へのアプローチ、そして、学生たちがコミュニケーションを取りやすい手法を取り入れることがとても大切です。

採用を成功へと導くカギ・・・まずは、自社の採用活動の環境を整えていくことから始めてみてはいかがでしょうか。

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この記事を書いた人

abie hair在籍。株式会社カプラスの採用担当として、企業説明会や学校訪問など採用活動の全般に携わってきた経験を活かして、美容室採用のノウハウを配信していきます。

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