ドライヤーで乾かしただけの髪がパサパサなんて事ありませんか?ただドライヤーの風を当てて髪を乾かした状態は元の髪質にもよりますが、かなりの確率でパサパサになります。美容師が普段使っているドライヤーが特別なわけではなく、コツを掴めば誰でも上手に乾かす事ができます。プロとしてしっかりマスターしていきましょう。
ここではドライヤーでドライをする5つの事前準備と3つの手順をお伝えします。
ドライヤー『強風』『弱風』『冷風』の使い分け
ドライヤーの強風は使うけど弱風や冷風は使っていますか?ここではそれぞれの使い方を解説していきます。目的を理解して上手く使いこなしましょう。
髪を乾かすときは『 強風』
基本は強風で乾かします。
高温の風が出るため振りながら使うことが基本です。手櫛で髪を整えながらドライヤーの風を分散させるように乾かすと熱くなりにくいです
1箇所に長くドライヤー当てると熱いだけではなく髪の毛のタンパク質が変形してダメージにつながるので気をつけましょう。
前髪や顔周りを乾かすときは『弱風』
前髪を乾かす時やウェーブスタイルのドライ時に使います。また、最後の仕上げの時に使うと髪が散らかりにくいので毛先がまとまり良く乾かすことができます。
キューティクルを閉じ込める役割の『冷風』
キューティクルを閉じてツヤを出す。
たんぱく質でできている髪の毛は熱を当てると柔らかくなり、冷やすと固まります。その性質をうまく利用して冷風でキューティクルをしめて崩れにくい艶やかなヘアスタイルを作る事ができます。
美容室でのドライの目的
まず初めに美容室でのドライの目的を理解しましょう。ただ、乾かすだけではなく以下の5つの目的があり、上手にドライができると大きなメリットがあります。
- 髪を乾かす。
- 生えぐせを直おす。
- ボリュームを出す。
- ボリュームを抑える。
- 仕上がりをイメージして乾かし、スタイリング(ワックスやオイルでの仕上げ)をやりやすくする。
ここでポイント!
ドライヤーの熱を髪の毛に与えすぎると、俗に言う『オーバードライ』状態になってしまいます。水気が髪の毛に残っていては仕上げの持ちが悪くなってしまいますが、乾かしすぎは髪に艶が無くなりパサつきが出て、スタイリングができなくなってしまいます。
ドライの基本技術
ドライヤーでお客様の髪の毛を乾かすには、事前準備と手順があります。ここではドライヤーをする前の事前準備の5つのポイントと手順の3つポイントを解説していきます。
ドライヤーでドライをする事前準備|5つのポイント
お客様がシャンプーを終え、何の準備もなくドライヤーの熱を与えてしまうと、髪が絡まっていたり、水分が取り切れていなかったりで時間が余分にかかってしまいます。ドライをする前の事前準備をしっかりして、髪の毛に負担が少ないドライをしていきましょう。
事前準備①しっかりとタオルで水分を拭く
水が滴る状態からドライするととても時間がかかります。しっかりタオルドライしましょう。優しくタオルで髪の毛を挟むようにタオルで水分をとります。
事前準備②コーミングをする
分け目と前髪を確認し、コーミングをします。髪の毛が絡まった状態でドライヤーの熱を与えないようにしましょう。

事前準備③スタイルの完成形をイメージする
『たかが乾かすだけ』と思われがちですが、上手なドライの後の髪の毛は扱いがとてもしやすく、その後のスタイリングに大きく差が出ます。男性やショートスタイルの方はそのままスタイリングに入ることもあります。
その後のブロー、コテ巻き、ストレートアイロンの仕上がりに大きく差が出るので、ただ乾かすだけではなく仕上がりをイメージしてから始めましょう。
事前準備④必要に応じてアウトバストリートメントを付ける
お客様の髪質、髪の状態を見て、必要に応じてドライヤーの熱から髪を守るアウトバストリートメントを付けます。お客様になにもお伝えしないで付けるのではなく、必ずお客様に以下の3つを伝えるようにしましょう。
- なぜこの商品を使うのか
- 使うと髪にこんな良いことがある
- 商品の特性 等
他の商品について聞かれたりもあるので自分のお店に置いてある商品はすべて把握し、説明ができるようにしましょう。
事前準備⑤お客様へのお声掛け
お客様に何も言わずにドライヤーのスイッチを入れてしまうと、その音や風に驚いてしまうお客様もいらっしゃいます。『乾かしていきます、お熱い様な事がございましたら仰ってください』と、必ず一言添えてからドライヤーをかけていきましょう。
ドライの手順|3つのポイント
根元→中間→毛先の順で乾かします。
ここでポイント!
・お客様の頭皮を熱くしない。
・お客様の顔に髪の毛がかからないようにする(前髪などかからないと乾かせない場合はひと言添えます)
・爪がお客様の顔や頭皮に当たらないようにします。
・身体がお客様に近くなりすぎないように立ち位置に気をつけます。
ドライヤーの風と自分の手を連動させ、ドライヤーをあてデザインしながら手グシで乾かします。根元を手グシで乾かす時は、頭皮に触れる程度の力にします。もしお客様の頭が手グシで触れる際に動く事があれば、手グシの力が強い証拠です。練習してちょうどいい力加減を身に付けましょう。
また、お客さまの頭皮が熱くなりすぎないようにします。自分の手にドライヤーの風を当てるようにするとお客様の頭皮が熱くなる前に自分の手が熱くなるので、早く気付く事ができます。是非実践しましょう。
手順①根元をドライする
根元は乾きにくく生えぐせも強いので最初に乾かしていきます。デザインをイメージしないで根元のドライをしてしまうと、どんなデザインも作れなくなってしまうので、必ず毛流れのデザインをイメージして根元をデザイン通りの方向に向けましょう!
ここでポイント!
特につむじや前髪が割れやすい方は、最初に生えぐせを取るように毛流れに逆らうようにドライヤーを当てます。
手順②中間をドライする
根元の生えぐせが取れたら中間、毛先へドライヤーの風を当てて乾かしていきます。ボリュームを出す時は根本から立ち上げながら円を描くように手グシを通しながらドライヤーを当てます。逆にボリュームダウンしたいところは頭皮に沿うように手グシで押さえながらドライヤーをしていきます。
手順③毛先をドライする
9割程度乾いてきたら毛先までゆっくり手グシを通してドライヤーをかけます。こうする事で毛先がバサバサに乾くことを防ぎます。
ドライ完了
全体が乾いて整ったらドライは完了です。
ここでポイント!
・お客様にお待ちいただく時は『少々お待ちください』と一言添えてからその場を離れ、担当スタイリストに終わった事を伝えてから次の仕事に取り組みます。
・途中でスタイリストが代わりに来た場合は、お客様に『失礼いたします』一言伝えてから次の仕事に移ります。
・時々『熱くないですか?』と伺いましょう。熱くしてしまった、爪が当たってしまった等、失礼があった時に『申し訳ございません、大丈夫でしょうか?』等の心のこもった謝罪の言葉がすぐに出るようにしましょう。『態度が悪い』とクレームにつながる可能性があるので、絶対に知らんぷりしてはいけません。わからない事があればすぐに先輩に聞きましょう。
・些細なことでも謝罪するやり取りがお客様とあった場合は、引き継ぎの際に必ず担当者に報告して担当者からもひと言謝罪してもらいます。
上手なドライができるようになろう
ドライヤーの使い方ひとつでリラックスして寝てしまう方もいるほど上手な人に乾かしてもらうと気持ちがいい技術の一つです。ですが、敏感な頭や髪の毛に触る技術のため少しのことで乱暴に感じさせてしまうこともあるため気をつけながら技術向上を目指しましょう。