新しいサロン形態「シェアサロン」
美容師の働き方として「正社員」か「フリーランス」か、キャリアを重ねていくにしたがって、悩みを持っている人もいると思います。近年では、フリーランスを選択する人も増えてきていて、その働き方は「正社員」で働く以外にも多様になってきました。その一つが「シェアサロンで働く」ということ。本記事では、シェアサロンについて説明していきます。
そもそも「シェアサロン」とは?
店舗を持たないフリーランス美容師にセット面や美容室の設備を貸し出す施設のことです。
美容室の空いている席を貸し出す「面貸し」との違いは、全ての席がシェア専用に用意されていることです。
POINT
使用するのはどんな美容師?
フリーランス美容師や、店舗の改装中や開業準備中などで、固定の働く場所を持ってない美容師たちが活用しています。
なぜシェアサロンを選ぶのか?
「シェアサロン」という言葉を創りだした業界のパイオニアであるGO TODAY SHAiRE SALONでは2016年の創業以来34店舗まで店舗数を伸ばしています。それだけ選ばれているのはなぜでしょうか?
美容室は全国で25万件あるといわれていて、いわゆる「オーバーストア化」しているのが現状です。「将来は、独立して自分の店を持つことが夢」と語る美容師も少なくありません。ですが、毎年約1万店が廃業している現実もあります。
独立開業し美容師業界で生き残るためには、お客様に数多くある美容室から選んでもらうこと、また採用面でも、美容師から選んでもらうことの二点がとても重大な課題となります。
そうした競争率の高い美容業界で、シェアサロンで低リスクな独立を目指す美容師が増えているのです。
シェアサロンで働くメリット
1. 低リスクでの独立
これは最大のメリットといえるでしょう。
開業に必要な資金は1,200万円程度と高額です。また開業後1年間で約6割が閉店するといわれる競争率の厳しい世界です。
シェアサロンを利用する場合には、サロン開業時に必要な不動産への支払いや内装工事の費用がかかりませんので、利用料金のみですぐに営業を開始できます。そのうえ、休業日やアイドルタイムなど顧客がいない間の家賃や水道光熱費・人件費を削減することができます。
2. 場所や時間の融通がきく
シェアサロンの営業時間は定められていないため、スケジュールは自分次第です。育児と両立や、事情により現場を離れてしまった「休眠美容師」が月に数回利用するなど活用されています。
またInstagramなどにより、全国のユーザーと繋がることができる現代ですので、全国の顧客を相手に施術をすることが 可能です。
3. 手取り収入が増える
シェアサロンの利用料金は、「月額固定利用料」「固定+歩合料」「時間料」のいずれかを採用しているケースが一般的です。
相場としては・・・
月額固定利用料・・・12万~25万
固定+歩合料・・・・固定(2~5万円)+歩合65%~80%
時間量・・・・・・・平日750円/30分・土日祝1200円/30分
その他、初期費用がかかります。しかし、正社員として美容室で働くよりも手取りの収入額は増えるといった人が多いでしょう。
シェアサロンで働くデメリット
1.集客は自分で行わなければならない
フリーランスとして美容師をしていくなら、面貸しや一部の業務委託の契約と同じように、集客は自分でする必要があります。シェアサロンに集客サービスはありません。minimoやrequpoなどの比較的コストのかからないアプリを利用したり、SNSなどで自己をブランディングして集客するなどが大切です。
2.経費や仕入れ等を自分で管理する
独立ということになれば、経費などの管理・事務仕事も一人でこなしていかねばなりません。予約の問い合わせ・管理、経費・売上の計上、確定申告や薬剤などの仕入れなど、様ざまな作業があり、サロンワークの傍ら行う必要があります。
また、薬剤の仕入れも、サロン価格と個人の仕入れでは同じ料金という訳にはいきませんので、仕入れ単価が高くなるでしょう。業者に交渉するなど、工夫が必要です。
3.収入が安定しない。
手取り収入は増えるように感じますが、仕入れや経費もかかりますし、各種税金を個人事業主として納めなければなりませんので、要注意です。また、健康に問題が起きれば収入がとだえるなど不安要素をカバーするのは大変です。
美容師としてのキャリアプランを考えることが重要
低リスクでの独立や、開業するための下準備期間など、シェアサロンを活用する人は増えています。働き方としては、「フリーランスで働く」ことになりますから、働く場所が、今までの選択肢(業務委託契約・面貸し)よりも、よりフレキシブルな選択といえそうです。
自由度がより高くなるので、自身で店舗を開業するよりリスクは低いですが、やらなければならないことは沢山あります。
フリーランス美容師にとっては、業務委託、面貸し、そしてシェアサロンと、選択肢が増えたことで、自分に合った美容師のキャリアプランを描くことが大切です。