美容業界の話を聞いていると、ここ数年、よく出てくる言葉がある。
「人がいない」
「育たない」
「辞めたら戻らない」
一見すると、これは「働く側」の問題に見える。でも編集部が話を聞いてきた限り、実際に詰まっているのは、むしろ美容室を経営する側の方かもしれない。
経営者が、みんな同じところで詰まっている
多くの美容室経営者が、似た悩みを抱えている。
- 採用しても続かない
- 教育しても辞める
- 店長クラスが育たない
- 実力(売上)がついてきたら独立
- 経験者なのに即戦力にならない
つまり、
人が辞める → 教育(売上)がリセットされる → また採る → また辞める
このループから抜け出せない。
これは個別のサロンの問題というより、ほぼ業界共通の経営課題になっている。
経営者が困っているのは「人」ではなく「設計」

よく聞く言葉がある。
「最近の若い子は続かない」
「やる気のある人がいない」
でも冷静に見ると、経営者が本当に困っているのは、
- 教育をどう設計すればいいか分からない
- どこまで教えれば即戦力なのか分からない
- 途中で辞めた人を、どう戻せばいいか分からない
- 他店から来た経験者を、どう評価すればいいか分からない
つまり、“人の問題ではなく、仕組みの問題” になっているケースがほとんどだ。
「戻れない」のは、経営側の準備がないから

働く側のよくある声はこうだ。
「ブランクがあると不安」
「技術についていけるか分からない」
「今さら現場に戻る勇気がない」
でもこれを経営側の視点で見ると、実はこうなる。
- どんな技術レベルなら戻っていいのか決めていない
- 何を学べば復帰できるか設計していない
- 復帰用の教育ルートが存在しない
- 時短や柔軟な働き方の選択肢がない
つまり、戻れないのは本人の問題というより、経営側が「戻る前提」で設計していないだけ。
言い換えれば、「戻ってきたい人がいない」のではなく、「戻れる設計を用意してこなかった」という話でもある。
経営者が詰まる本当の理由

編集部が感じているのは、ここだ。
美容室経営者が詰まっているのは、「優秀な人がいないから」ではなく「誰でも使える教育と評価の仕組みがないから」
どのサロンも、
- 自分の店流の教育
- 自分の感覚での評価
- 自分の経験ベースの指導
になってしまい、結果として、『店を移動すると全部リセット』『辞めたら完全リセット』という構造が出来上がっている。
経営者は毎回、
- またゼロから育てる
- またゼロから教える
- またゼロから関係を作る
これを何年も繰り返している。
これは「人材問題」ではなく「教育設計の問題」
ここまで整理すると、問題の正体はかなりシンプルだ。
美容業界は、人材が足りないのではなく、やる気がないのでもなく、”教育と評価の設計が存在しない” という状態に近い。
だから、辞めた人が戻れず、経験者が活かされず、経営者がずっと同じところで悩み続けるというループから抜け出せない。
次に考えるべき問い
では、この状態を変えるには何が必要なのか。編集部が次に思い浮かべる問いは、これだ。
美容業界に、「どこでも通用する教育のベース」は作れないのか?
どのサロンでも共通で使える
- 技術のベーシック
- 教育のカリキュラム
- 評価の基準
がもし存在したら、店を移ってもキャリアが消えず、辞めても戻りやすく、経営者も教育に悩まなくなるという、今とはまったく違う構造が生まれる。
ここから先のテーマは、「教育そのものを、業界で共有できないか?」という話になる。
次回は、その具体モデルについて整理していきたい。

