美容師アシスタントのことについて知りたい方へ。本記事では、アシスタントの仕事内容や必要な道具、また、スタイリストデビューまでの流れやポイントを解説します。新卒としてアシスタントになった方、スタイリストデビューを目指すアシスタントの方は、ぜひご覧ください。
美容師アシスタントとは?
どこの美容室でも、美容師という職業は「アシスタント」と「スタイリスト」のふたつの位置づけがあります。「スタイリスト」は最初から最後までの施術を一人で担当できる技術力と経験を持った美容師です。
「アシスタント」はその「スタイリスト」のアシスト、“助手”をする立場です。スタイリストの助手をしながら、技術力や接客を身につけて、自身が「スタイリスト」としてデビューするまで下積みをします。サロンに就職したらまず「アシスタント」からスタートです。
スタイリストデューまではどのくらいかかる?
スタイリストデビューまでのアシスタントの期間は、サロンによって異なります。3年の教育カリキュラムを組んでいるサロンもあれば、1年でスタイリストデビューができるというサロンもあります。
いずれにせよ、技術力・接客がスタイリストとして相応しいと判断されない限りはデビューできません。期間が決まった教育カリキュラムが組まれていても、その年数でスタイリストとして美容師デビューできるかどうかは、自身の努力次第という点も念頭におきましょう。
また、アシスタント期間の途中で他社に転職した場合、その転職先サロンのアシスタント1年目としてスタートすることになります。現時点のサロンでスタイリストデビューが目前ならば、リセットされてしまうのはとても勿体ないことです。スタイリストとしてデビューすれば、どこへ行っても「スタイリスト」と名乗ることができます。アシスタント期間中はできるだけ同じサロンに勤めることが、時間を無駄にしないためにも大切です。
給与はどのくらい?アシスタントの平均月収
美容師アシスタントの平均月収は13〜17万円前後です。新卒1年目の月収が一番低く、アシスタントしての年数を重ねたり、jr.スタイリストとしてランクアップしたりすると昇給されます。
都心では家賃が高かったり、ウィッグなどの道具代に費用がかかったりと、何かと支出が多いアシスタントは、他にもバイトを掛け持ちしている人も多いようです。
労働時間はどのくらい?
美容師アシスタントは、開店から閉店までの時間だけが労働時間ではありません。開店準備や閉店後の店内清掃、サロンによっては営業時間前後に技術練習・講習を義務付けているところもあります。もちろん、練習時間を強制されていないサロンもありますが、スタイリストデビューするには練習が必要ですので、自然とお店にいる時間が長くなります。体力は不可欠です。
美容師アシスタントのお仕事/職務内容
美容師アシスタントの仕事は細かく分ければキリがありませんが、大きく以下のようにわけられます。技術に関しては、できるようになった事からお客様に施術するようになります。それぞれ詳しくご説明します。
1. 床はきやクロスを畳むなどの雑用
店内の雑用はほぼ、アシスタントの仕事です。床に落ちた髪の毛を掃いて次の施術の準備をしたり、カラー剤やパーマ液などがすぐ使えるように用意したり、次のお客様を通すためにお席をリセットしたりするのが、営業中の主な雑務です。
営業外では、お店の掃除やタオル・クロスの洗濯、印刷物の印刷や備品の買い出しなど多種多様な雑務があります。アシスタント間でコミュニケーションをとり役割分担をすることが、一人一人の負担を減らすために重要です。
2. ウェット・シャンプー
お客様をシャンプー台にご案内して、髪の毛をカットしやすいようにウェット状態にしたり、シャンプーをしたりするのは、アシスタントの仕事です。一番最初に習う技術がシャンプーのサロンがほとんどではないでしょうか。カラー放置後のシャンプーや、ヘッドスパ・トリートメントもアシスタントの仕事です。
スタイリストもアシスタントも関係なく、サロンの仕事の中で唯一お客様に直接触れ、リラックスしていただける施術なので、シャンプー指名やスパ指名を貰ったり、ファンをつけたりできるチャンスです。ぜひ技術向上のために、毎回のシャンプーを試行錯誤しながら施術して極めてください。
3. カラーリングのヘルプ
スタイリストがカラー剤を塗っているところに加わって一緒に塗ったり、スタイリストが他のお客様の施術をしている間にもう1人のお客様のカラーをしたりします。
どのくらいの幅に薬剤を塗るのか、どの順番でカラー剤を塗布していくのか、スタイリストの塗り方を見て、または指示を聞いて施術に入ることが重要です。塗布が終わったあとのタイム管理もアシスタントがすることが多いです。
また、ハイライトやローライトなどのメニューでホイルを使う場合は、それを手元に持っていって取りやすく渡してアシストするのもアシスタントの仕事です。
4. パーマのヘルプ
パーマのヘルプもカラーリングのヘルプ同様に、スタイリストと一緒に1人のお客様の髪を巻く事もありますし、スタイリストに一任される事もあります。また、巻終わったあとの薬剤を塗布する作業やタイム管理、ロッドを外す作業などもアシスタントの仕事です。
5. 縮毛矯正のヘルプ
縮毛矯正では、薬液の塗布とアイロン作業がありますが、どちらもヘルプに入ります。1人のお客様にスタイリストと一緒に付くこともありますし、任されることもあります。
縮毛矯正のアイロン作業は、全頭の施術の場合かなり時間がかかります。ですから、もし他のお客様の予約の希望があってアシスタントの人数が足りていれば、アイロン作業をアシスタントに一任してその間にスタイリストは他のお客様を仕上げるということもあります。
6. ドライ・ブロー
お客様の髪を乾かします。乾くのに時間がかかりそうなお客様や、早く乾かしたいときは2人体制でドライに入ります。メンズやショートのお客様の場合は1人でドライ・ブローすることがほとんどです。
ブローとは、手やブラシを使いながらドライヤーの熱を利用して、髪の毛のキューティクルを整えながら乾かすことです。頭の形や完成系のシルエットをイメージしながら整え、上手にできると髪の毛にツヤやボリュームが出ます。
美容師アシスタントの必要な道具
美容師アシスタントは営業中どんな道具を使うのか、どの施術で使うのかにも触れながら、ご紹介します。
1. シザーケース
まず、道具を持ち歩くためのシザーケースは必須です。デザイン重視の人もいれば、容量重視の人もいて様々です。2000円台で買えるものから20000円以上するものまで幅広く、こだわりの強い人はオーダーメイドする場合もあります。
しかし、アシスタント期間のうちは、2000円〜5000円程度で購入できて、ウエストベルトがショルダータイプにもできる2wayのものを選ぶのがおすすめです。
2. ダッカール
髪の毛をまとめる時に使うダッカール。シャンプー前やカラー、縮毛矯正など、ほぼ全ての施術で使います。Lサイズが使いやすくおすすめです。シザーケースには5本程付けておけば、足りなくなることがありません。サロンのスタッフと色が被っていると、どちらのものか分からなくなる現象が起きるので、色が被らないようにするか目印をつけるなどして工夫しましょう。
3. 目の粗いコーム
濡れた髪の毛や絡んでしまった髪の毛を梳かすには、ジャンボコームなどの目の粗いコームが必要です。また、トリートメントを馴染ませるために、シャンプー台で使う場合もあります。常にシザーケースに入れておくようにしましょう。
持ち手がついているものと、全体がコームになっている物がありますが、それは個人の自由です。サロン指定のものがない限りは、自分の使いやすいものを使ってください。専門学校で教材として配られたものがあれば、それをそのまま使っても問題ありません。
4. リングコーム
テールの部分が先細りになっていて、テールコームとも呼ばれます。スライスが取りやすいのでパーマや縮毛矯正の際に使われます。また、カラー剤が頭皮につかないように塗る時、リングコームを使って塗ることもあります。
基本的には1本で足りますが、落とした時のためや、洗い場に取りに行けなかった時のために2本持っておくと安心です。また、ダッカール同様他のスタッフの物と混同しやすいので気をつけてください。美容専門学校卒であればワインディングで使っていた物があると思いますので、壊れていなければそのまま使って問題ないです。
5. デンマンブラシ
ブローをする際に使用します。髪の毛にしっかりテンションをかけられるもの、熱で溶けたりしていないものを使ってください。必ずしもシザーケースに入れておかなければならないわけではなく、ロールブラシのみでブローするという人は持ち歩かなくても大丈夫です。必要になる時はあるので、持ってはおきましょう。
6. ロールブラシ大中小
ロールブラシも、ブローをする際に使用します。大中小とブラシの細さがあり、髪の毛の長さに合わせて使い分けます。最終的には3種類の太さのロールブラシが揃っているのが理想ですが、金額的なこともありますので一気に揃える必要はありません。ロールブラシが必要になる時期に合わせて、少しずつ集めるのもひとつの手段です。計画的に購入しましょう。
7. メモ帳
アシスタントの最初の頃は、技術的なことも雑務的なことも、覚えることがたくさんあります。教わったことはすぐメモできるように、メモ帳を携帯しておきましょう。
また、スタイリストからカラー剤やパーマ液、ロッドの準備など指示をもらいます。その際、カルテに書いていない事だったり、薬剤の調合が複雑だったりすると覚え切るのは困難です。間違いが起きないようにする為にも、メモを取ることをおすすめします。
8. ボールペン
メモを取るにはメモ帳だけ持ち歩いていてもどうしようもないので、ボールペンも携帯しましょう。メモを取る以外にも、意外な場面で突然ボールペンが必要になるということが結構あります。荷物が届いてサインをしたり、フロント以外の場所で予約の電話を取ったり、受付票に記入してもらうためのペンがインク切れだったり、シチュエーションは様々です。シザーケースに1本は入れておきましょう。
9. 手袋
カラー剤を塗布したり、パーマ液をつけたりするときに使用します。大抵の場合、サロンから支給されるかと思います。使い捨ての手袋なのか、破れるまで使うかはお店によってそれぞれです。
破れるまで使う場合は、片方の手袋が行方不明になりがちです。しっかりダッカールで留めるのも一つの手ですが、オススメは百均で買えるタオルホルダーです。絶対落ちないので使ってみてください。
美容師アシスタントとして活躍するためのポイント
自分のお客様を持つことはなくても、シャンプーやスパで指名を貰ったり、継続的にモデルとして来てくれる方がいたりする人気アシスタントや、スタイリストから頼りにされる、可愛がられるアシスタントはたくさんいます。アシスタントとして活躍するポイントはどんな所にあるのでしょうか。
相手の名前を呼ぶ
お客様に自分の名前を覚えていただけたらとても嬉しいですよね。人は、相手から名前で呼ばれていると相手の名前も知ろう、覚えようとする心理が働くそうです。自分自身もお客様の名前をはやく覚える事ができます。また、お客様だけでなく、スタイリストやアシスタントの先輩など、サロンのスタッフの方に話しかける時も名前を呼ぶのと呼ばないのでは印象が変わります。
褒め言葉をかける
日常の中で、相手を褒めることはどれくらいあるでしょうか。会話の中で一度でも褒め言葉をかけることを意識しましょう。パッと目に付いたことでも構いません。そのうち自然と相手の褒めポイントが見えるようになり、スタイリストになった時には数時間の施術時間の間たくさん褒めることができるようになります。綺麗になりたいと美容室に来ているお客様に、たくさん喜んでいただきましょう。
気分を一定に保つ
お客様にとっても、他のスタッフにとっても、アップダウンの激しい気分屋はNGです。テンションが低いこと、高いこと自体に問題があるのではありませんよ 。テンションが落ち着いた低さなら落ち着いた低さのままで、明るく高いテンションなら明るく高いテンションのままで、一定を保ちましょう。気分にムラがあるとスタッフも気を遣いますし、お客様によってテンションに差があるのは以ての外です。ちゃんとコントロールしてください。
はやくスタイリストデビューするには?
下積み時代のアシスタントは早く卒業して、スタイリストデビューしたい。そう考えている人がほとんどです。では、どうしたら早くスタイリストとしてデビューできるのでしょうか。
たくさん練習
技術力向上には練習以外方法がありません。営業時間外となると体力・気力ともに追いつかなくなることもあります。効率良く無駄のない練習時間にしましょう。自分に合っていない道具を使っていたり、わからないことが解決しないままで練習していても、非効率です。
例えば、ロールブラシやシザーなどは種類が沢山ありますよね。購入する前に一度先輩の物を借りてみたり、アドバイスを貰ったりして、自分に合う道具を見つけましょう。また、わからないことはわからないまま練習していても上達しません。先輩にきいて、教えてもらいましょう。その際は感謝も忘れずに。
コミュニケーション能力を磨く
接客する上でお客様との会話は満足度に繋がります。店販やメニューアップの提案は直接の利益になります。また、お客様の希望のデザインをより正確に知るためにも、コミュニケーション能力は必要です。話し方、聞き方ともに、アシスタントの間に鍛えておくと、のちのち苦労せずに済みます。
テストに合格する
スタイリストデビューするために合格しなければならないテストがあります。お店によって条件や合格基準は様々です。テストを受けるための条件がある場合、早い段階でそれをクリアしテストを受けることが、スタイリストデビューへの近道です。
アシスタントは夢に見た美容師の入り口
美容師という職業に夢見て入社しても、アシスタント期間に挫折してしまう人が多くいるのが現実です。たしかにたくさん大変なことがあるアシスタント期間中ですが、辛いことばかりじゃありません。技術を褒めて貰えたとき、お客様に自分を覚えてもらったとき、やりがいや活力になります。ぜひ、スタイリストデビュー目指して頑張っていただきたいです。