撮影ヘアメイクの現場ってどんな感じ?現役が教える仕事内容とリアルな1日の流れ

「将来は雑誌や広告、MVの撮影現場で活躍するヘアメイクになりたい!」 美容学生の皆さんの中に、そんな夢を抱いている方は多いのではないでしょうか。SNSで流れてくるロケ風景やモデルさんのオフショットを見ると、とても華やかで楽しそうな世界に思えますよね。

しかし、実際の「撮影現場」は、1分1秒の遅れも許されない、プロフェッショナルたちの真剣勝負の場でもあります。

この記事では、知っているようで知らない「撮影ヘアメイク」の具体的な仕事内容から、現場のリアルな1日の流れ、そして求められる意外な能力までを徹底的に解説します。この記事を読めば、あなたが現場に立ったときの具体的なイメージがガラリと変わるはずです。

目次

撮影ヘアメイクの主な仕事内容とは?

サロンワークが「目の前のお客様を1対1で綺麗にする仕事」だとすれば、撮影ヘアメイクは「カメラマン、スタイリスト、ディレクター全員とチームを組み、1枚の写真や10分の映像という作品を作り上げる仕事」です。

具体的には、以下のような業務を行います。

打ち合わせ(香盤表の確認)

撮影の数日前、あるいは当日の朝に「どんな世界観(コンセプト)で撮るか」のすり合わせを行います。「かっこいいモード系」「透明感のあるナチュラル系」など、クライアントの要望に合わせて使用するコスメやヘアスタイルの方向性を決めます。また、当日のタイムスケジュールが書かれた「香盤表(こうばんひょう)」を頭に叩き込むことも重要な仕事です。

仕込み(ヘア&メイクの施術)

撮影開始の1〜2時間前、スタジオやロケバス、時には楽屋に入り、モデルさんやタレントさんにヘアメイクを施します。現場でのヘアメイクは「スピード」が命。限られた時間の中で、ベースメイクからヘアセットまでを完璧に終わらせる瞬発力が求められます。

タッチアップ(現場でのキープと修正)

髪をセットして「はい、終わり」ではありません。撮影中もヘアメイクはモニターに張り付きます。

  • 照明(ライト)の熱で顔がテカってきたら粉を押さえる
  • 風で前髪が崩れたら、シャッターの合間にサッと直す
  • 衣装チェンジに合わせて、リップの色を塗り替える

 これを「タッチアップ(お直し)」と呼び、撮影が終わるその瞬間まで、モデルさんの美しさをキープし続けます。

リアルな1日をシミュレーション|現場ヘアメイクのタイムスケジュール

ロケ(屋外撮影)の現場を例に、ヘアメイクのリアルな1日を覗いてみましょう。

  • AM 5:00|集合・移動
    この日の朝は非常に早いです。スタジオやロケバスの集合場所に遅刻は絶対厳禁。重いメイクバッグ(キャリーケース)を引いて現場に向かいます。
  • AM 6:30|仕込み開始
    ロケバスの車内でヘアメイクを開始。まだ眠そうなモデルさんと適度にコミュニケーションを取りながら、制限時間内に仕上げます。
  • AM 8:00|撮影スタート・アテンド
    いよいよ撮影開始。カメラマンがシャッターを切る中、ヘアメイクはメイク崩れや髪の毛の乱れを見逃さないよう見守ります。
  • PM 12:00|撮影終了・撤収
    すべてのカットが終了。モデルさんのメイクを落とし、スキンケアをして送り出します。使った道具をすべて綺麗に片付け、忘れ物がないかチェックして解散となります。

SNSでは見えない「現場のリアル」と大変なところ

華やかに見える世界ですが、現場に出て初めて知る「泥臭い現実」もたくさんあります。

天候と環境との戦い

夏の猛暑、冬の極寒、突然の雨や強風。どんな過酷な状況でも撮影は進みます。「風が強すぎて前髪が割れる」「汗でメイクがドロドロになる」といったトラブルに対し、その場で手持ちの道具を駆使して解決する「対応力」が必要です。

圧倒的な縦社会とアシスタント期間

トップアーティストとして独立するまでは、有名な師匠について「アシスタント(弟子)」として下積みをすることが一般的です。アシスタント時代は、荷物持ちや道具の手入れ、現場の買い出しなどが中心で、お給料も決して高くありません。この期間を「学びのチャンス」と捉えて耐え抜く根性が必要です。

技術以上に求められる「気配り」

現場にはたくさんの大人が関わっています。ピリピリした空気のなかで、ヘアメイクがモデルさんに優しく声をかけ、リラックスさせることで良い表情が生まれることもあります。技術が上手いのはプロとして当たり前。それ以上に「あの人とまた仕事がしたい」と思わせる人間性やマナーが、次の仕事を呼び込みます。

まとめ|非日常の感動を、あなたの手で作るために

撮影ヘアメイクの現場は、朝が早くて、体力勝負で、決して楽な仕事ではありません。

しかし、自分の手がけたヘアメイクが、カメラマンの光と、スタイリストの衣装と混ざり合い、モニターに「完璧な一瞬」として映し出されたときの鳥肌が立つような感動は、この仕事でしか味わえません。さらに、それが雑誌の表紙になったり、ネットの広告になったりして世の中に発信される達成感は格別です。

もしあなたが「やっぱりあの世界に挑戦したい!」と思うなら、まずは学校の授業ひとつひとつを「現場のつもり」で取り組んでみてください。

スピードを意識すること、道具を綺麗に保つこと、友達の顔を借りてたくさんメイクすること。そのすべての地味な準備が、いつかあなたが憧れの現場でハサミやブラシを握るための、強力な切符になります。

FAQ:撮影ヘアメイクに関するよくある質問

Q1:現場ヘアメイクになるには、サロン経験は絶対に必要ですか? 

A:必須ではありませんが、サロン経験があると「圧倒的なヘアの基礎力(ブロー、巻きの持ち、髪質の扱い)」が身につくため、現場に出てから非常に有利です。最初から事務所に入る場合でも、ヘアセットの学校に通うなどして、ヘア技術を徹底的に磨く必要があります。

Q2:現場で使用するコスメは、すべて自腹で集めるのですか? 

A:はい。プロとして現場に出るようになると、あらゆる肌質やトレンドに対応できるよう、大量のコスメやヘアケア用品を自分で買い揃えます。学生のうちから、デパコスだけでなくプチプラの優秀アイテムなどもリサーチして、自分だけの「一軍バッグ」をイメージしておくと良いでしょう。

Q3:人見知りなのですが、現場でのコミュニケーションが不安です。 

A:現場のコミュニケーションで大切なのは、「面白い話をすること」ではなく「相手を観察して、必要な気配りをすること」です。モデルさんが寒そうならブランケットを渡す、喉が渇いていそうならストロー付きの飲み物を用意するなど、無口でも「気が利く人」は現場で非常に重宝されます。

Q4:作品撮りは、就活や事務所に入る際に見られますか? 

A:はい、非常に重視されます。ポートフォリオ(作品集)として、自分がどんな世界観を作れるのか、技術のクオリティはどのくらいかを示す名刺になります。学生のうちに、友達やモデルさんを呼んで、最低でも5〜10パターンは「自分の作品」を撮影して残しておきましょう。

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