1950年代のメイクやヘアスタイル、ファッションについて知りたい美容学生・美容師の方へ。この記事では、オードリー・ヘップバーンをはじめとするスターが活躍した1950年代の美容トレンドを、メイク・ヘアスタイル・ファッションに分けてご紹介します。
1950年代は、映画女優や海外のスターが美容やファッションのお手本となった時代です。現在も人気のキャットアイや赤リップ、ピクシーカットなど、現代のヘアメイクにもつながる要素が多く見られます。
当時の流行を知ることは、単にレトロなスタイルを楽しむだけでなく、時代によって変化する「美しさ」の表現を学ぶことにもつながります。
1950年代の時代背景
第二次世界大戦後の1950年代は、アメリカの映画や雑誌などが日本にも大きな影響を与えた時代です。
日本化粧品工業会によると、戦後の1950年代にはアメリカの雑誌や映画の影響が強まり、1954年にはアメリカからパンケーキが紹介されるなど、メイクアップ化粧品への関心が高まっていきました。
映画館のスクリーンに登場する女優たちは、当時の女性にとって憧れの存在でした。
なかでも代表的なのが、オードリー・ヘップバーン、マリリン・モンロー、グレース・ケリーです。
同じ1950年代のスターでも、それぞれが異なる魅力を持っていたこともポイントです。
オードリー・ヘップバーンは知的で洗練された雰囲気、マリリン・モンローは華やかでグラマラスな魅力、グレース・ケリーは上品でエレガントなスタイル。
こうしたスターの存在によって、映画はエンターテインメントだけでなく、メイクやファッションの流行を生み出す場所にもなっていました。1950年代にはハリウッドスターがファッションアイコンとして大きな影響力を持っていたことも知られています。
1950年代メイクの特徴

1950年代のメイクを一言で表すなら、きちんと整えられた肌に、印象的な目元と唇を組み合わせたクラシカルなメイクです。
日本の1950年代も、白っぽい肌・黒いアイライン・赤い口紅という組み合わせが基本的なメイクの要素となっていました。
現代のような「抜け感」や「素肌感」を重視するメイクとは異なり、顔立ちをはっきり見せることが特徴です。
肌|マットで整ったベース
1950年代のベースメイクは、現在主流のツヤ肌とは異なり、なめらかで均一な肌が基本です。
ファンデーションやパウダーを使って肌を整え、きちんとした印象に仕上げます。
ただし、当時のメイクを現代にそのまま再現すると厚塗りに見えてしまうこともあります。
現代風に取り入れるなら、ファンデーションを厚く重ねるのではなく、肌の質感を整えたうえで部分的にパウダーを使うと、50年代らしい端正な雰囲気を残しながら今っぽく仕上げられます。
眉|存在感のあるはっきりした眉
1950年代は、細く薄い眉よりも、存在感のある眉が特徴的です。
資生堂のヘアメイクアップアーティストによる化粧史の解説でも、戦後の1950年代には、意志の強さを感じさせる角のある太い眉が流行したと紹介されています。
オードリー・ヘップバーンの眉も、彼女の顔立ちを特徴づける重要なパーツの一つ。
眉頭から眉尻までしっかりと存在感を持たせることで、目元の印象も強くなります。
美容学生が当時のメイクを再現するときには、眉の太さだけではなく、眉山の位置や眉尻の角度まで確認すると、より時代感を出しやすくなります。
目元|キャットアイで切れ長に
1950年代のアイメイクといえば、目尻を跳ね上げたキャットアイが代表的です。
アイラインで目の輪郭を強調し、目尻をすっと上向きにすることで、印象的で女性らしい目元をつくります。
キャットアイは1950~60年代を代表するアイメイクの一つで、当時は日常のメイクとしても取り入れられていました。1950年代には液体アイライナーの普及も進み、映画メイクの影響とともにこのスタイルが広がりました。
また、まつ毛もしっかりと強調します。
現代のように「自まつ毛のような自然さ」を追求するというより、アイラインとマスカラによって目元そのものを際立たせるのがポイントです。
口元|印象的な赤リップ
50年代メイクを象徴するもう一つのポイントが、赤リップです。
赤といっても一色ではなく、深みのある赤から明るい赤、ピンクやコーラル系までさまざまな色が使われていました。
マリリン・モンローのような華やかな赤リップはもちろん、オードリー・ヘップバーンのように目元や眉を強調しながら口元を整えるスタイルも、50年代らしいクラシカルな印象をつくります。
現代風に取り入れるなら、リップラインを丁寧に整え、唇の形を美しく見せることを意識すると、50年代らしさが出しやすくなります。
1950年代のヘアスタイル

メイクだけでなく、1950年代はヘアスタイルも大きく変化した時代です。
特にオードリー・ヘップバーンの登場によって、女性のショートヘアに対するイメージも広がりました。
オードリー・ヘップバーンのピクシーカット
オードリー・ヘップバーンといえば、短い前髪とすっきりとしたシルエットのショートヘアを思い浮かべる人も多いでしょう。
1953年公開の映画『ローマの休日』で見せたショートヘアは、後のピクシーカットの普及にも大きな影響を与えたとされています。
短くカットされた髪によって首元や顔まわりがすっきりと見え、可愛らしさだけではなく、知的で洗練された印象も与えています。
美容師が50年代のヘアスタイルを再現するときには、単純に「短く切る」のではなく、顔まわりのラインや襟足、前髪の長さによってどのようなシルエットをつくっているのかを見ることが重要です。
カールやボリュームを活かしたスタイルも人気
50年代の女性のヘアスタイルは、ショートだけではありません。
ミディアム~ロングでは、カールやウェーブをつけてボリュームを出したスタイルも多く見られました。
特に映画スターのヘアスタイルでは、顔まわりを華やかに見せるカールや、トップに高さを出したスタイルなどが印象的です。
同じ1950年代でも、オードリーのショートヘアと、マリリン・モンローのような華やかなカールヘアでは、与える印象が大きく異なります。
その違いまで理解すると、当時のヘアメイクをより立体的に捉えられます。
1950年代ファッションの特徴

50年代ファッションを語るうえで外せないのが、クリスチャン・ディオールの「ニュールック」です。
1947年に発表されたニュールックは、丸みのある肩、細く絞られたウエスト、ボリュームのあるスカートによる女性らしいシルエットが特徴。
1950年代のファッションを象徴するスタイルの一つとなりました。
一方で、1950年代のファッションは一つのシルエットだけではありません。
映画スターの影響も大きく、オードリー・ヘップバーンのようなシンプルで洗練されたスタイルも人気を集めました。
オードリー・ヘップバーンのサブリナパンツ
オードリー・ヘップバーンの代表的なファッションの一つが、映画『麗しのサブリナ』で着用したクロップド丈のパンツです。
映画『麗しのサブリナ』は1954年に公開され、オードリーの衣装を手がけたのが、後に長く親交を築くことになるデザイナー、ユベール・ド・ジバンシィでした。
足首が見えるクロップド丈のパンツにフラットシューズを合わせたスタイルは、当時の女性の新しいファッションとして注目を集めました。
現在でも「オードリー・ヘップバーンらしいファッション」として知られるスタイルです。
50年代のヘアメイクから学べること

1950年代の美容トレンドを見てみると、現在のメイクやヘアスタイルにもつながっている要素が多くあります。
例えば、
- キャットアイ
- 存在感のある眉
- 赤リップ
- ピクシーカット
- カールを活かしたヘアスタイル
- クロップドパンツ
- ウエストを強調したシルエット
などです。
ただし、当時のスタイルをそのまま再現することだけが「50年代風」ではありません。
美容学生やヘアメイクを学ぶ人にとって大切なのは、なぜその時代にそのスタイルが流行したのか、そして何がその時代らしさをつくっているのかを考えることです。
例えば、同じ赤リップでも眉やアイライン、肌の質感を変えれば印象は大きく変わります。
同じショートヘアでも、前髪や襟足、シルエットのつくり方によって、現代的にもクラシカルにも仕上げられます。
時代の特徴を知っておけば、映画や舞台、撮影などで「1950年代風」というオーダーを受けたときにも、単に昔の写真を真似するのではなく、時代の空気感まで含めたヘアメイクを考えられるようになります。
1950年代の美容トレンドを知ってヘアメイクの表現を広げよう
1950年代は、オードリー・ヘップバーンやマリリン・モンローなどのスターが美容やファッションのアイコンとなった時代です。
端正な肌、存在感のある眉、キャットアイ、赤リップ、そして特徴的なヘアスタイルや女性らしいシルエットのファッション。
こうした要素が組み合わさることで、現在も愛される「50年代らしいスタイル」が生まれました。
そして、時代の美容トレンドを知ることは、ヘアメイクの引き出しを増やすことにもつながります。
美容学生の方はもちろん、ヘアメイクや美容の仕事に携わっている方も、映画やファッション、当時の広告などを参考にしながら、50年代ならではの表現を研究してみてはいかがでしょうか。
